フランスを食す 第4弾 究極のマリアージュ 於 2004/10/5 名古屋長者町 レストラン ツキダテ

一般的にワインは、売ることを最大の目的としているので、売れる様に管理して作られます。
収穫後、モスト(ぶどうジュース)での濃縮、酵母の使用、徹底された温度管理、補糖、酸化防止剤による醸造の管理、熟成中のまめな澱引き、ワイン目減り分の補填とSO2添加による酸化防止、テイスターによる最終的なブレンド、清澄とろ過…
マーケットに合った味わいが作り出されます。

片や、一般に自然派といわれるものは、”出来たワイン”。
極力人間の管理を避けますが、その味わいは、常に皆に受け入れられるというものにはなり得ません。
雨の多い年は希薄に物足りなく、
天然の酵母の働き次第の醗酵。
温度管理、SO2添加を避け自然に任せることが多い為、アルコール発酵の途中でマロラクティック醗酵が始まり、乳酸が糖をアタックし、揮発酸が高まりお酢になる危険も。(醸造学校では温度管理、酵母添加などにより、リスク無くアルコール発酵終了後にマロラクティク醗酵がスタートするよう教えられます)。
澱引きの度に酸化防止剤(SO2)が必要になる為、出来るだけ澱引きをせず醗酵、熟成が続けられる結果、ワインにはその澱が作り出す還元香(酸素の少ない嫌気的状態、すなわち還元状態が続くことによる硫黄の様な香り)の為、瓶詰め後もその香りが感じられることも。
また同時に、SO2添加が希薄な為、醸造・熟成中に酸化したワインや、
瓶詰め後、炭酸ガスがタップリ感じられるものなども、澱引きやSO2添加量が希薄なことによるものです。
ワインのミレジムやテロワールをより反映したワインを、ということから、濾過せずに澱も瓶詰め。(しかもその澱は、澱引きを最小限にした、空気との接触の少ない嫌気的状態(還元状態)で熟成された澱で、瓶詰め後の還元香のリスクはより高いものとなります)。

これらの方法では、マーケットにあわせたものではない味わい、となるリスクが高いものです。

個人の情熱、哲学などでは済まされない、企業の経営である一般のワインメーカでは、
データが大変重要です。それに基づきワインつくりが進行します。
自然が作る”出来るワイン”には、データは常に通用せず、フィーリング、センス、感性など人間の五感が大変大切ですが、それでは企業経営として安定しないものです。

ワインの試飲の際、情報として知りたいものは、
ワイナリーの歴史、
場所、土壌などの気候条件、
畑の面積、
ぶどう品種、
価格、
アルコール度数、
またこの他に、
畑での仕事の方法。除草剤、殺虫剤、人工肥料(engrais chimique)の有無。
畑の耕作(travail du sole)の有無。
ぶどうの樹齢、
密植度(ぶどう樹の本数/ha)、
収穫量(hl/ha)、
手摘みと機械収穫、
収穫時のぶどうの天然の糖度、
補糖の有無、
濃縮機械の有無とその方法(逆心浸透膜osmose、蒸発evaporateur)、
人工酵母の有無とその種類、
使用される醗酵槽(木、セメント、ステンレス等)とその大きさ、
破砕・除梗の有無、
浸漬(醸し・マセラシオン)の日数、
その際の温度、
ピジャージュ(櫂入れ)とルモンタージュ(ポンピングオーバー)の有無と頻度・方法、
アサンブラージュ(ブレンド)のタイミング、いつ?、
瓶詰めの時期、とその方法、
清澄(コラージュ)と濾過、またその方法、
最終的なSO2トータル(総亜硫酸)とSO2フリー(浮遊亜硫酸)の量…

しかしなんといっても、大切なのは、飲み手自身です。
常にいいイメージでワインに対し、ご自分の感性を集中し、フルに働かせて、少しでも多くのことを液体から感じることが大切です。そしてご自分の言語でメモしながら、自分なりの物差しを作っていくことがとても大切だと思います。
日本でまた各国で、様々なワイン生産者の方々と、いろいろな意見交換が出来ると良いですね。

2008年11月



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